純喫茶に夢中な理由として、「どこにいるかわからなくなる瞬間」を味わいたい、というのがある。例えば、渋谷にある名曲喫茶ライオン。絶妙な明度の青い照明と、どこかで嗅いだような懐かしい匂いが現在位置をあやふやにする。扉の外には日常が続いているが、意図的に自分の内側に入るような時間が癖になるのかもしれない。