



物を集めることは楽しいが、空間や金銭の問題が発生する。思い出や記憶をコレクションするのは無限だ!と思い立って始めたのが、ブログ「純喫茶コレクション」だった。(今は更新していない)熱中するとそればかりになる癖で、ひと月に72投稿した時も。あの頃の情熱を取り戻すのに今最も足りないのは時間というジレンマ。
余白にこそ面白さがある、というのは純喫茶に通い続ける日々で改めて気がついたこと。何かを習得するのに早い道も効率の良いやり方もあるけれど、「好き」や「興味」の先にオリジナリティが生まれて、結果それが強みになるのだなと純喫茶の店主たちを見ていると感服する。その想像力は自分でも常に意識しておきたいところ。
山形の喫茶での話。聞くのは好きですが全く知識がなく「この曲いいな」と思う瞬間が必ずあるのに深掘りすることはなかったジャズ。「気になったなら尋ねたらいいじゃない。そこで終わらせてしまったら『何でもいい』と言っているのと同じだよ」と、マスターから発された印象的な一言。純喫茶から広がる興味を今後はもっと。
私が考える純喫茶で座りたい席について。空いていたら入口から一番遠い隅っこの席。背後は壁で左側に窓があると尚良い。店内を一望できる場所が好き。視線の右前方にはカウンターがあり、珈琲を淹れている店主を視界に入れられたら最高。好きだなと思った席が一番よく見えるところに座り、それを眺めるのも楽しみのひとつ。
見つけるとそわそわしてしまうもの。キーコーヒーの看板、ステンドグラスの灯り、レースのカーテン、ふわふわの食パンが入っているビニール袋、店名が光るネオン管、カウンター席に並べられたさまざまな新聞たち。純喫茶ではない場所にもあるものたちなのに、好きなものと繋がっている空気を感じてわくわくしてしまいます。
純喫茶で出会えると嬉しい気持ちになるもの。レモン味のお冷、スプーンに添えられた角砂糖、レジ横に積まれたマッチ箱の山、マスターの蝶ネクタイ、手書きで加えられたメニュー、フルーツサンドからはみ出したクリーム、パフェグラスの底の緑色のシロップ、そっと添えられた小さなクッキー、珈琲の水面に映るシャンデリア。
純喫茶の良さは、看板、外観、内装、インテリア、メニュー、店主、そこに集まる人たち…とさまざま。こちらでは、お店の紹介とはちょっと違う、純喫茶で過ごしているときに気になったもの、素敵だったものなどについて気まぐれに綴っていきたいと思います。選ぶ席によって見える景色も変わるように毎回新鮮なひとときを。